Dracula MillenniumW Forever in The Dark
Copyright 2000,2001 by TOWNS
Illustration by W・Q(SpecialThanks)

第7幕−1節 〜月下の鎮魂歌〜


ハドソンリバー、ハーレムリバー、イーストリバーと呼ばれる、三本の巨大な川に全周を囲まれた島、ニューヨークマンハッタン島
島としては、お世辞にも広いとは言えない、その敷地に、所狭しと建てられた高層建築物は巨大な摩天楼を形成し
名所としてあまりにも有名な、自由の女神立つリバティアイランドから展望する、その美しい摩天楼ビル街は、見るもの全てを圧倒する
その中に数多く存在する、国や組織の重要機関は、世界に繋がる膨大なネットワークの中枢的機能と、あらゆる情報が集約されていて
世界中から、毎日の様に多くの人々が集まるニューヨークには、夢と、野心と、欲望に満ち溢れ続けていた
しかし、同時に其処は、そんな人々の心の中に巣食う、邪な気持ちを糧に暗躍する、闇の住人達にとっての恰好の棲家でもある
此処は、島の中心に位置する巨大な公園、セントラルパークの南側付近の、辺りを集合ビルで囲まれている、人通りの殆んど無い路地裏
そして、その人目の無い場所に、今流行のストリート系ファッションに身を包んだ、一組の男女が立っていた
お互いに、見た目は結構若い感じのする、今風の若者で、傍目にみれば、普通の恋人同士にしか見えない取り合わせである
だが、良く見れば、彼らを恋人同士と呼ぶには、少しばかり無理がありそうだ
それと言うのも、男性と対峙している女性の表情は、明らかに恐怖で怯え、しかも衣服の所々には、強引に引き裂かれた様な跡まであった
「や・・・やめて・・・近寄らないで・・・これ以上ひどいことをすると・・・警察を呼びますよ」
「ふん、呼ぶなら呼んでみろ、あんな腰抜け連中が、俺に何か出来ると言うのなら、是非見てみたいもんだな」
「ほ・・・本当ですよ・・・脅しなんかじゃ無いですよ・・・」
「ああん?脅しだ?・・・煩せえなあ、だから早く呼べって言ってんだろ、こら」
その男から伝わる、見掛けの印象からは想像もつかない、殺気と恐怖に、女性は無言で、その場にへたり込んでしまった
「ちっ、つまんねえ・・・ディスコクイーンとか呼ばれていた奴だから、さぞかし楽しませてくれると思ったのによ」
「これじゃ、そこいら辺に居る普通の女共と、全然変わんねえじゃねえか」
「お、お願いです・・・見逃して下さい・・・お金でよければ、払いますから」
男は、女から聞こえたその言葉が、相当気に入らなかったらしく、今まで以上に殺気を剥き出しにして、彼女の事を睨み付ける
「ああん?金だって?そんなもん要らねえよ・・・お前は俺を、小遣い稼ぎでもしている、チンケな強盗か何かだと思ってるのか?」
「い、いえ、別にそんな意味じゃ・・・」
「馬鹿野郎、あんな言い草じゃ、誰が聞いたって、そうとしか聞こえねえだろうが」
「ご、ごめんなさい・・・」
「あああ・・・疲れる・・・くそっ、まさか、こんなハズレを掴んじまうなんて・・・俺も結構やきがまわったかな?」
「すいません・・・もし、私に出来る事でしたら何でもしますので・・・お願いですから、それ以上怒らないで」
「ふ〜ん、何でもするってか?」
「はい、私に出来る事なら・・・」
「そうか・・・じゃあ、とっとと死んで貰おうかな・・・」
男がそう言い放った瞬間、彼の目は真紅の輝きを放ち、着ていた服を引き裂きながら、全身の筋肉が膨張を始めた
見る見るうちに、男の身の丈は、元の2倍近くに膨れ上がり、身体全体が、濃い白銀の体毛によって覆われて行く
そして、鼻から顎に掛けての骨格が、前の方へと張り出し、口元からは、鋭角で長い牙が生え揃って行くのが見えた
そうして今風の若者であった男性は、元の風貌を全くもって留めない、恐ろしい狼男へと変貌を遂げる
女性は地面に座り込んだまま、男が変身して行く様子を呆然とした表情で見つめていた
「ふん、驚いたか・・・まあ心配するな、痛みも感じさせずに・・・えっ・・・ぐはっ・・・」
次の瞬間、狼男に変身した男は、突然の胸元からの喪失感と、失血感で襲われ、息苦しくなって、胸元へ手を当てる
するとそこには、何時の間に出来たのか、こぶし程の大穴が開き、そこから流れ出る夥しい血で、彼自慢の白銀の体毛は
胸から下が、濃い赤色に染められていた
「な、なんで・・・何時・・・こ、こんな・・・穴・・・が」
そして、徐々に薄れていく意識の中で彼が最後に見たものは
先程まで、恐怖に怯えていた筈の女性が、右手を、手首辺りまで赤く染めて
その手の中には蠢く肉の塊を持ち、妖しげな笑みを浮かべながら佇んでいる姿だった
「お、お前・・・ま、まさか・・・それは・・・俺の・・・」
男が、その言葉を言い終わる間もなく、彼女の手にある肉の塊は、女性とは思えない様な力で、無残な形に握り潰され
同時に、男性の意識も完全に途切れ、彼の肉体は、まるで液体が蒸発するかの様に、その場から消滅してしまった
そして彼女は、男が消えた跡に残っていた、凝った金細工の施されたペンダントを拾い上げると、黙って手の中に握り締めた
「やはり、この男もか・・・」





すると、男が完全に消滅した事を確認して、背後の建物から2人の人物が姿を現し、彼女の元へと歩み寄って来た
その内の1人は、化粧方法や着ている洋服の違いから、見た目の雰囲気的な違いは在るのだが、間違いなく、あのミリアムである
それに、ミリアムの後に着いて来た、もう1人の人物と言うのも、何と、つい今まで狼男と対峙していた彼女と完全に瓜二つの姿をした女性であった
「おつかれさまでした、亮一様」
「ああ、無事に任務完了だ、これで彼女も、普通の生活に戻る事が出来るな」
そう、先程まで例の男が、ディスコクイーンの女性と思い込んでいた人物は、実は、彼女に変身した亮一だったのだ
「ありがとうございました、亮一さん、ミリアムさん」
「別にお礼なんかいいよ、こっちも一応ビジネスでやってる事だし、それに変身の時には、良い思いもさせて貰ってるしね」
「え?・・・あっ、やだっ・・・もお〜っ」
その女性は、亮一からの思いがけない返事に、彼との情事を思い出してしまい、思わず赤面してしまった
「もう、亮一様、大事なクライアントをからかっては駄目ですよ・・・」
「ごめんごめん、別に悪気があって言った訳じゃ無いから、勘弁してくれ」
「い、いえ、別に私は、そんな・・・」
「まあ、そんな訳で、君を狙っていた魔物も、これで居なくなった事だし、もう大丈夫だよ」
「どうもお手数掛けました、仕事料は、明日でも指定口座に振り込んでおきます」
「ありがとう、そうして貰えると助かるよ・・・それと、一応、家までは責任を持って送るから」
「わかりました、ありがとうございます」
そうして、路地の入口の所に、ミリアムが運転する、移動用の大型ワゴン車が横着けされると
亮一と彼女は、ウィンドウスモークによって保護された後部座席へと乗り込み、彼女の家へと向かい、夜の街へ消えていった



第7幕−2節 〜SHIMBA教団〜


此処は、ウェストサイド地区のブロードウェイ通りに面した、普通のビジネス街
その一角にあるテナントビルの一室に、怪奇現象の調査を専門としている、一風変わった探偵事務所があった
事務所の入口には、「R・M・M・D」と刻印された、小さめのプレートが掛かっていて
その4つの頭文字の意味は、Ryouichi・Mirium・Mysteryphenomenon(怪奇現象)・Detectiveoffice(探偵事務所)と言う事で
実は、何を隠そう、あの亮一とミリアムが、新天地のニューヨークで立ち上げた、新しい探偵事務所だったのである
あの、修道院の事件が終わって数日後、亮一とミリアムは予定通りニューヨークへと渡り、この事務所を開設してから、既に半年が過ぎていた
ちなみに、その修道院が、あの後どうなったかと言うと
事件後直ぐ、新しい院長も選任され、副院長に特別抜擢されたマリーや、他の修道女達の献身的な努力で、何とか無事に再興を果たしたそうだ
それに、例の地下鍾乳洞も、一般向けの観光施設として開放され、今では連日大勢の見物客が訪れる、人気の観光スポットと成って
修道院運営の為の、良い資金源となっているそうである
あの日亮一が、修道院を去る前に、マリー達の元へ残した封筒に、院長の筆跡を真似て書いた、施設権利譲渡書と委任状を入れておいた事も
それらの事後処理を、円滑に進める為の、良い手助けと成った様だ
亮一も、心配で依頼しておいた、現地の調査員から、その報告を聞いて、ミリアムと祝杯を交わしながら朝まで喜んでいたのは、今でも記憶に新しい
そして、話は戻って現在、亮一は、ニューヨークに来て間もなく、事務所の存在を知った多数の女性から、同じ様な内容の調査依頼を受けていた
それは、最近頻発する、獣人化した人間によって引き起こされる、30代までの若い女性のみを狙った、暴行・殺人・傷害事件に関してであった
その事件も、発生する状況は様々で、加害者の犯人像も、目撃者や被害者の証言が一致するケースは少なかったのだが
ただ、最近の調査で分った事が、加害者が、事件現場へ残した遺留品の中に幾度か、普段、この辺の街ショップでは売られてないタイプの
特殊な形をしたペンダントがあった事が判明したのだ
しかも、そのペンダント、デザインや色が些少違っているタイプはあるものの、基本的な形状は全て同じで
それら全てが、同一の場所から入手された物である事は、まず間違いなかった
更に、調査を進めて行くうち、ペンダントの現すマークから、最近若者達を中心に勢力を伸ばしている、ある新興宗教団体の存在が浮かびあがった
その教団は、活動内容も、施設内部も、全てが謎に包まれ、分っているのは「SHIMBA」と言う教団名と「CINDY」と呼ばれる教祖の存在のみで
しかし、大々的な布教活動もせず、秘密主義で通している教団にも関わらず、その信者数は年々増加の一途を辿っているらしい
だが、様々なコンタクト方法を試みても、教団関係者は勿論の事、末端の信者からも、内部情報が、外部へと漏れた事は無く
一部の調査機関からは、信者に紛れ込ませて、調査員を派遣した事もあったのだが、誰一人として、依頼主の元へと戻って来た者はいなかった
かと言って、このままの状態を続けても、調査が一向に進展しない事も確かで
そこで亮一は、今回、自らが教団内部へと潜入して、直接教団の内情を調査する事にしたのだ
それと言うのも、亮一が先日狼男を倒した際、例のペンダントと一緒に、綺麗に折り畳まれた、小さなメモ紙を入手していた
しかも、その中には、サインペンによる簡単な走り書きで、SHIMBA教団の、定例集会の開催スケジュールが書かれていたのだ
亮一は、この千載一遇のチャンスを逃す手は無いと思い、行動を決意したのだが
ただ、万が一の事を考えて、ミリアムには事務所の方へ残って貰う事にした
その理由は、開催場所のホテルが、ミリアムとの精神感応連絡が可能な場所である事
それと、相手が正体不明の新興宗教団体と言う事もあり、集会と言うからには、不特定の信者が訪れる可能性も高い為
常に、誰か1人は、状況に応じて、自由に行動が出来る状態で居る事が、得策と考えたからである
そこで亮一は、事務所奥に造られたフィッティングルームへと入り、服を脱いで裸になると、全身へと意識を集中させた
すると、亮一の身体は、見る見るうちに変貌を始め、身体つきが一回り以上小さくなり、ボディラインは緩やかな丸みを帯び始める
胸元からは、2つの双球が張り出して、魅惑的で大きめな乳房を形作り、全体的にメリハリが効いた、大人の女性の身体に変化していった
そして変身後、部屋の鏡に映し出された亮一の姿は、美しいプラチナブロンドが印象的であった、あのシスタージャネットになっていた
その後、亮一は、クローゼットから、身体に合ったサイズの下着類一式を取り出し、白いワイシャツに、麻混の藍色系のベスト
それに、ベストと同色の膝上タイトスカートに黒のロングストッキングと言った、事務系の服を選んで身に着けた
「こんなものかな・・・」
亮一は、着替えの済んだ姿を、鏡に映しながら、簡単に身なりを整えると、必要最小限の荷物を鞄に詰めて、事務所の方へと戻る
事務所の方では、丁度ミリアムがコーヒーを煎れたところで、部屋の中は芳しいブルーマウンテンの香りで満ちていた
「う〜ん、やっぱりミリアムの煎れるブルマンは、最高だな」
「ありがとうございます、亮一様も、そのOL姿、とても良くお似合いですよ」
「ブッ・・・ちゃ、茶化すなよ・・・ミリアム」
冗談か、本気か分らない、そのミリアムからの言葉に、亮一は、思わず口に含んだコーヒーを吹き出しそうになった
「す、すいません亮一様、そんなつもりで言ったんじゃ無かったのですが」
「いや、別に謝って貰うような事じゃないんだけど・・・ちょっと、心の準備が間に合わなくて・・・こちらこそ、すまない」
しかしミリアムは、亮一に向かって深々と下げた頭もそのままに、如何にも申し訳無さそうな感じで、謝罪の仕草を続けている
亮一は、そんなミリアムがとても可愛く思い、彼女の傍に行くと、優しく頭を撫でた
「大丈夫だよミリアム、何も問題ないんだから、安心して・・・」
「りょ・・・亮一様・・・」
「じゃあ、俺はそろそろ出掛けなくてはいけないし、後の事は頼んだよ、ミリアム」
「はい、わかりました」
そうして、ミリアムの煎れたコーヒーを飲み終えた亮一は、例の集会場所に指定されているホテルへと向かった
「MOBBY'S ROYAL−HOTEL・・・ここだな」
事務所を出て数分後、目的のホテルの前に到着した亮一は、先ず部屋を確保する為に、受付ロビーへ向かう
チェックインカウンターの所には、数人のカウンターレディが居て、亮一を笑顔で出迎えてくれた
「いらっしゃいませ、御予約の方ですか?」
「いえ、予約はしてないのですが、3日間の滞在予定で、エコノミークラスのシングルルームをお願い出来ませんか」
「はい、では、少々お待ち頂けますか」
そう言って、そのカウンターレディは、一寸受付場所を離れ、カウンター責任者らしき男性の元へと歩み寄り、事情を説明する
すると、その男性は、亮一の方へと視線を移し、彼女の話を聞きながら、嫌味でない程度の品定めを始め
亮一は、その何とも言えない視線に、背筋に冷たいものが走ったのだが、出来る限り、笑顔だけは絶やさない様にしていた
そうして、亮一が男の視線に絶える事数分、ようやくカウンターレディが戻って来た
「すいません、お待たせ致しました、エコノミーには空き部屋が無かったのですが、ビジネスクラスのシングルルームならご用意出来るとの事です」
「でも、それだと宿泊費が高くなるのでは?」
「いえ、今回だけは特別に、当ホテルのカウンターチーフの計らいで、料金はエコノミーと同じで良いとの事です」
「え、本当ですか・・・嬉しい」
「良かったですね」
「やっぱり、綺麗な女性って得だよな・・・」
「え?」
「あ・・・い、いえ・・・何でも無いです、ありがとうございます、カウンターチーフにも宜しくお礼を言っておいて下さい」
「はい、承知致しました、それではこちらで宿泊手続きの方をお願い致します」
亮一は、カウンターレディから出された宿泊カードに、架空の名前と住所を記入すると、宿泊保証金を払って、部屋のキーを受け取った
「それでは、ごゆっくりおくつろぎ下さい」
「ありがとうございます、お世話になりますね」
こうして、何とかホテルの部屋を、無事に確保する事が出来た亮一は、取りあえず部屋に入って荷物を置くと、備え付けのソフマリー腰を降ろした
「しかし、柄にも無い事はするものじゃ無いな・・・清楚なレディなんて演じてたら、凄っげえ疲れた・・・」
「でもまあ、取りあえずは、何とか無事第一関門も突破した事だし、気を取り直して次の準備にでも取り掛かりますか」
そう言って亮一は、部屋据付のインターホンを取り、カタログのサービスメニューの中から、適当にルームサービスを頼んだ
数分後、部屋のチャイムが鳴り、亮一がドアを開けると、メイド服タイプの制服でワゴン車を押した、可愛らしい女性従業員が立っていた
「お待たせしました、ルームサービス係のマリーです、お客様からのご注文の品をお届に上がりました」
「ご苦労様、じゃあ、私は奥の部屋に居るから、終わったら教えてちょうだいね」
「はい、分りました」
暫くして、配膳作業を終えたマリーが、作業完了の報告の為に、亮一の待つ、奥のベットルームへとやって来た
そして亮一は、マリーが会釈をしてから、起き上がるタイミングを狙い、彼女に対して魅惑の術を使う
「お客様、すいません、では・・・あ、あん・・・はぁ・・・」
するとマリーは、明るい笑顔が爽やかな、清楚な感じから、一瞬の内に、妖しい妖艶さを浮かび上がらせ、熱い吐息を漏らし始める
亮一が、そのままマリーを抱き寄せキスを交わすと、彼女は、腰から下が崩れ落ちる様に脱力して身体を預けてきた
そこで亮一は、マリーの洋服に手を掛けて、着ている物を脱がし始め、あれよあれよと言う間に、彼女を全裸の状態にしてしまうと
ベットの上に抱え上げて寝かせてから、亮一も服を脱ぎ、彼女の上へと、ゆっくりと覆い被さっていく
その股間には、ジャネットには似つかわしくない、熱く固い物がそそり立ち、それが、マリーの淫らに濡れた秘所の中に深く沈められて行った
「うっ・・・あっ・・・んんっ、あああああっ」
それから暫く、暗いベットルームの中は、理性を無くした女豹の悩ましい声で溢れ、一段と甲高い声が発せられた後、漸く静けさを取り戻した
そして、今まさに閉じられようとしているクローゼットの奥には、全身を拘束された状態で気を失っている、全裸状態のマリーが居た
しかし、その彼女を拘束して、クローゼット内に押し込んだ女性も、また、マリーであった
「すまないけど、ちょっと君の姿を借りるね」
その、マリーから発せられた言葉の意味から察する通り、拘束されていない方の彼女は、亮一が変身したマリーであった
そうして、本物のマリーを隠し終えた亮一は、彼女の制服を身に着けて、何事も無かった様に部屋を出ると、従業員専用通路へと入って行った
そこは当然、通常は他の従業員達も仕事で利用しているのだが、従業員のマリーが、堂々と入って来たところで、誰も気にする者も無く
亮一は、通路内ですれ違う他の者と挨拶を交わしながら、そのまま奥の方へと進み、作業用エレベーターを使って、地下の機械制御室へと向かった
亮一は、辺りに人目が無い事を確認してから、電気制御盤を探し出し、制服のポケットに隠し持っていた端末を、信号制御用マイコンに接続する
「えっと、これが、ここに繋がって、これが・・・よし、これで良いかな」
無事接続が完了し、端末のスイッチを入れると、各種プログラムの実行状況が小型液晶に表示され、数秒後、完全な稼動状態となった
「PPP・・・P・・・PPP・・・P」
「よし、完璧」
亮一は、端末の自己診断で各種センサーが正常である事が確認出来ると、制御盤の中へ端末を隠し、正面のパネルを元通りに直してから
今一度、辺りの様子を確認すると、急いで制御室を出て、先程通って来た経路を逆に戻り、自分の部屋へと戻った
そして、マリーの制服を脱いでから、ジャネットの姿に戻り、服を元通り着替え終わると、奥のクローゼットの扉を開けてみる
すると、事の自体を掴めていない状態で、クローゼットに押し込められていたマリーが、やや気が動転した状態で、云々言ってもがいていた
それを見た亮一は、運の悪かった彼女に苦笑いを浮かべながらも、このままでは拙いので、彼女の目を見つめて精神暗示を掛ける
「マリー・・・貴方は何も見なかったし、何も聞かなかった・・・貴方は、ルームサービスの準備を終わり此処で急に倒れ」
「私に介抱されて、ベットで寝ていたの・・・」
普通の人間に対しての、眷属の力で施される催眠術は、過剰な程に強力で、マリーは簡単に深いトランス状態へ陥った
そこで亮一は、マリーをクローゼットから出してベットへ座らせると、身体を拘束していた解いて、彼女に命令する
「マリー、服を着なさい」
「はい・・・わかりました」
催眠状態のマリーは、本人の意志とは無関係に、亮一からの命令どおりに下着を身に着け、制服まで着終わると、再びベットに座った
そして亮一は、マリーの精神への拘束を解き、彼女の意識を覚醒させる
「え、あっ・・・あれ、やだ・・・私ったら何を・・・」
「あら、気が付いた」
「すいません、お客様、私、此処に来た途端、急に意識が遠くなってしまって・・・もしかして気を失ってました?」
「ええ、突然倒れたもんだから、私も驚いちゃった」
「ご、ごめんなさい・・・申し訳ありませんでした・・・」
そんなマリーの対応に、亮一は精神暗示の効果を確信し、表の優しい、穏やかな表情とは裏腹に、心の中でガッツポーズをしていた
「良いのよ、貴方とても真面目そうだから、多分疲れでも溜まってたんだと思うし、だから、別に気にしないで」
「ありがとうございます、本当にご迷惑をお掛けしてすいませんでした」
そう言ってマリーは、亮一に何度も頭を下げてから、少し恥ずかしそうにして、部屋から出て行った
「う〜ん、何となく、彼女には悪い事をしたみたいで、罪悪感が残るな・・・」
そこで亮一は、一度大きく深呼吸をして、リラックスしてから気を取り直し、部屋のテレビを、ホテルのガイドチャンネルに合わせる
そして、鞄の中から愛用のノートパソコンを取り出し、PCカードスロットに、無線式通信カードを差し込んで、電源を入れた
システムの起動が終わって待機状態になると、ターミナルプログラムを起動し、先程の通信端末のリモート制御を行い
施設内の制御回路にハッキングを掛けて、集会が行われるイベントホールの、防犯カメラの信号経路へと細工を施した
すると、部屋のテレビ映像が、館内案内から、カメラからのライブ映像へと変わり、イベントホールの様子が克明に映し出される
現在は、丁度、集会用の器具や什器を準備している所で、一般信者らしい若者数名が、忙しそうにホール内を動き回っていた
「OK、完璧じゃん」
それから、今度は、最新鋭のHD-VTRを取り出し、モニター端子に接続すると、長時間記録モードで録画を開始する
「よし、これで、こちらの方の準備は出来たし、後は、幹部連中の到着を待つばかりだな」
刻々と迫る、集会開催時間を待ちながら、亮一は取りあえず、TVが見える位置のソファーに座って、一息吐いた



第7幕−3節 〜闇からの招待状〜


部屋の時計の針が、午後1時を少し過ぎた頃、部屋のTVで、着々と準備が進んでいくイベントホールを見ていた亮一が
ある拍子に目線を逸らせた際、部屋の中で、ある物に変化が起きている事に気付いた
それは、亮一の鞄の中から零れ落ちていた、例の狼男の遺留品で、この教団の事を知る要因になったペンダントである
今まで調べていた時には、別段変わった所も無い、単に特別な形をしただけのペンダントであったのだが、今、偶然に見てみると
宝石の類か何かは不明な、青色の研磨石が、何かに感応している様に光り輝いていたのだ
しかも、その輝きからは、何らかの意志も伝わって来る様に感じられ、亮一は慌ててソファーから立ち上がり、ペンダントを手に取った
すると、亮一の手がペンダントの本体に触れた瞬間、彼の意識の中に、その石を通して、怪しげなメッセージが流れ込んで来た
そして亮一は、闇の眷属の本能で、メッセージの中に催眠暗示的に擦りこまれている、言霊にも似た強制力を感じ取っていて
自己防衛的な条件反射で、咄嗟に精神障壁を張っていた事によって、危険な事態は何とか回避する事が出来た
「ふう〜、やばいやばい・・・俺とした事が迂闊だった・・・」
「成る程、このペンダントには、こんな使い方もあるのか・・・もし、これが普通の人間に対してだったら、その効果は絶大って感じだよな」
「しかし、こんな小さなペンダントに、これ程まで強力な意志を伝達出来る者が、教団の中に居るとは・・・」
「これは、気を引き締めて掛からないと、本当にミイラ取りがミイラになってしまいそうだ・・・ふふっ・・・」
亮一は、ペンダントを握り締め、その強大な未知の力に対して脅威を抱きながらも、反面、自分の中に沸き起こる高揚感に興奮していた
それも先代達が、遥かなる悠久の彼方から戦い続けてきた記憶が、眷属の血の盟約として、未だ潜在意識の中に息衝いている証拠なのだろう
「それにしても、この、頭の先から痺れる感覚は・・・SEXの快感にも匹敵するな」
「んんっ・・・拙い、胸が張って痛くなってきちまった」
そう言って亮一は、着ている服を緩めて、背後に手を回してブラジャーのホックを外し、締め付けられている痛みを和らげると
再びソファーに戻り、恐怖と快感の狭間を揺れている、極めて不安定な精神状態に快楽を感じながら、乳房の上へと優しく手を這わせた
「んっ、うん・・・はっ・・・」
今や、ブラウス越しに見てもハッキリと分る程、固く隆起した乳首に、軽く手が擦れただけでも、身体中には例え様の無い快感が溢れかえる
それと同時に、下腹部から感じられる、内部を潤す為の分泌液が、体内から流れ出てくる感覚に、亮一の興奮度は更に高まって行く
既に、女性として身体が求めている欲求と快楽を、理性で止める事が出来なくなった亮一は、タイトスカートを捲り上げて、ショーツを降ろした
すると、ショーツが今まで、陰部を覆っていた部分には透明で粘質的な液体が糸を牽き、しっとりとした染みを作っている
そして、亮一は胸を弄りながら、もう一方の手を、その部分へと伸ばしていき、もっとも敏感で、乳首同様に固くなった部分へと触れた
「っつ・・・くう、あ、はん・・・くっ・・・ああぁぁぁぁ・・・」
その強烈な快感は、精神的にも既に、相当高揚していた亮一にとって、あまりに刺激が強すぎた事もあってか
亮一の身体は、直ぐに痙攣を起こしたように痺れて、あっという間にオルガスムスを迎えてしまった

「はあ、はあ・・・ふう・・・はああぁ・・・」
自慰によって、高まりすぎた興奮を発散させた亮一は、その場で快感の余韻を冷ました後
TVと時計に目をやって、まだ時間的には些少余裕がある事を確認し、バスルームへと向かい、手早く全身に斯いた汗を、綺麗に洗い流した
そして、鞄の中から、替えの下着を取り出して身に着けると、服も元通り着直して、鏡に向かい身なりを整えた
それから、先程適当に頼んでおいた、ルームサービスの品目の中に含まれていた、アイリッシュコーヒーを飲み干して気分をリラックスさせると
イベントホールの状況を確認し、ある程度時間を調整してから、亮一は、別館の受付会場の方へと向かった
SHIMBA教団主催、自己啓発セミナー会場
別館入口の、イベント掲示板に書かれた、もうすぐ始まる、教団の自己啓発セミナー開催の案内書き
セミナーとは名ばかりで、信者の大量獲得の為に、定期的に行われる、この集会は、終了後、参加者が入信する確立が100%と言われている
当の亮一自身、以前その話を聞いた時には全く信じてなかったのだが、それも、今回のペンダントの件で、考えが180度反転していた
何故なら、あのペンダントが、参加者全員に配られているなら、先程の入信率100%と言う驚異的な数字も、あながち不可能では無いからだ
そして、受付会場に着いてから数分後、徐々に参加者と思われる若者達が集まって来たのだが
その者達の中には、簡単な変装はしているものの、TVや新聞等で話題の、著名人や有名人の顔もあり、亮一は、改めて教団の力を認識した
それから暫くすると、数名の女性信者が窓口に現れ、セミナーへの参加受付が開始される
既にその頃には、集まった参加希望者は軽く100名を越える人数と成っていて、混雑も予想されたのだが、女性信者達の手際の良い対応で
ものの10分も経たない間に全ての受付を終了し、参加者全員を会場内へと送り込んでしまった
亮一も、その者達に紛れて会場内に入り、あまり前の舞台から目立たない様に、会場の左側後ろ寄りの席に座る
そして、全員が席に着いた事が確認されると、入口の扉が閉ざされ、会場内には、心を安らげる癒し系の音楽が鳴り、照明が暗めに落とされた
亮一は、自分への精神障壁を強めに施して、これからの事に備えて気持ちを落ち着けていると、会場内に流れていた音楽がフェードアウトし
舞台中央辺りがスポットライトによって照らされる
すると、そこには何時の間に現れたのか、見るからに精力的感じがする、白装束の僧侶風な恰好をした男性が立っていた
男は、参加者に向かって軽く会釈をした後、前方のマイクに向かって進み、挨拶を始める
「皆様本日は、私達SHIMBA教団の自己啓発セミナーに御参加頂きまして、誠にありがとうございました」
「今日、このセミナーに参加された皆さん全員が、これから同じ志を持つ仲間となって、一緒に活動していける事を願ってます」
「自己紹介が遅れましたが、私は日頃、上級信者を対象に、様々な指導や研修を行っている、師範のハンクスと申します」
「本日は私が、このセミナーの進行を担当させて頂きますので、皆様ご清聴の程、宜しくお願いします」
ハンクス師範の開催挨拶が終わりに差し掛かる頃、舞台前の所には、10人程の女性信者が、万年筆ケースの様な箱を抱えて並び
そして、師範の指示によって、彼女達は参加者全員に、そのケースを配って回った
亮一が、渡されたケースを開けてみると、例の物とは少しデザインは簡素化されてはいたのだが、案の定見慣れた形のペンダントが入っていた
「やはり、これか・・・」
「それでは皆様、今彼女達がお配りしたケースを開けて、中に入っている、教団のオリジナルペンダントを身に着けて下さい」
師範から発せられた、優しい口調でありながら、決して逆らうことの出来ない言葉に、参加者はペンダントを一斉に首に掛けていた
「ご協力感謝致します、それではまずセミナーの前に、皆様が溜め込んでいるストレスを解消して、リラックスして頂きましょうか」
そう言ってハンクス師範は、参加者の方に向かって大きく手を広げ、マイクを通しても聞こえ難い程度の声で、呪文の様な言葉を呟き始めた
「ωχψηθζδεθκνοξχφεφθδ・・・・・・」
すると、その呪文に感応して、参加者の掛けたペンダントの石が、青白い光に輝き始め
次の瞬間、亮一を除いた参加者全員は、一斉にトランス状態に陥り、その場に項垂れてしまった
事前に精神障壁を施しておいた亮一には、当然ながら、これらの術による影響は無いのだが
かと言って、目立って疑われたりしては困るので、隣に座る参加者に合わせて身体を動かし、辺りの目を誤魔化していた
それからも、呪文の詠唱は続き、師範の後ろに飾られた魔方陣が、陣形の輪郭に沿って光を発し始める
そして、絵の中心部に該当する絵柄から、複数の光の帯が放たれると、その光源の一つ一つが、参加者のペンダントへと吸い込まれて行った
その様子を見ていた、ハンクス師範の顔には妖しげな笑みが浮かび、全ての光源がペンダントの石に吸収されて、ペンダントの輝きが消えると
師範は、呪文の詠唱を止め、目の前に広げていた手の平を頭上に掲げ、大きく拍手を打つ
すると、参加者全員は、その大きな音によってトランス状態から開放され、一斉に我に帰った
「どうですか皆さん?これは私達が、天使の福音と呼んでいるリラクゼーション業なのですが、ご気分の方は如何でしょう?」
その師範からの問いかけに、参加者全員からは、大きな拍手と、驚きと感嘆の声によって、効果を絶賛する状態が沸き起こった
「効果の程は身を持ってお分かり頂けた様ですね・・・」
「それでは、ご気分も良くなったところで、これから、私達SHIMBA教団の活動などの、色々な紹介と説明をさせて頂きたいと思います」
それから、ハンクス師範を含めた数人の講師によって、レクリエーション風に、およそ2時間近くに渡っての講習が続けられ
最後に入会手続きが行なわれたのだが、勿論当初の予測通り、参加者全員が教団への入会を希望していた
其処に居る全員が、何の躊躇や疑いも持たずに、2000ドルと言う大金を払って入会の手続きを済ませると
教団側から全員に、会員証や、様々な教本、そして制服等の、教団内部の活動に参加する為の、教材類一式が支給された
そして、全てのプログラムが滞りなく終了した事が確認されると、ハンクス師範が、参加者に挨拶を述べた
「それでは皆様、本日はお忙しい中、当セミナーにご参加頂きましてありがとうございました」
「今日から皆さんは、私達SHIMBA教団の一員であり、大切な家族です」
「新しくファミリーとなられた皆様に、素晴らしい前途と、神の祝福があらん事を、心よりお祈り申し上げます」
「尽きましては、もし本日からでも、教団の活動に参加をされたいと言う方がいらっしゃいましたら、申し出て下さい」
すると、参加者の中から、男女織り交ぜて十数人の挙手があがり、勿論亮一も、彼等に合わせて手を挙げた
「希望者の方は、当方で施設までお送りする車を用意しますので、制服着用の上、1時間後に玄関ロビーへと集合して下さい」
そして亮一は、何とか無事に教団への入会手続きを済ませ、SHIMBA教団に堂々と入る為のパスポートを手に入れる事が出来たのだ
それから亮一は、急いでホテルの部屋に戻って、繋いでいた機器を外し、鞄の中へ詰め込むと、サービスカウンターで宅配便の手配をする
ただ、荷物の送り先は、万一の事も考えて、指定運送会社の局留めにしておき、ミリアムには精神感応でその由を伝えた
「じゃあ、頼んだぞミリアム・・・」
「分りました亮一様、お任せください」
諸々の準備を終えた亮一は、着ていた服を脱いで、教団の制服を身につける
そして部屋の時計が、集合予定時刻の10分前を指す頃、亮一は、セミナーの解散時に指示された玄関ロビーへと向かった



第7幕−4節 〜魔宮の入口〜


集合時間になって、ロビーへと集まった参加者達は、用意されたバスに乗り込み、一路教団施設へと向かう
バスは、一般車に紛れながらブロードウェイを市街地方面に走り、高い塀に囲まれた何処かの正門らしき場所に止まる
暫くして、自動的に門が開かれると、バスはそのまま建物の敷地内へと入って行く
バスが、門から奥へと続く並木道を抜けると、そこには、宮殿を思わせる様な、巨大庭園が広がり、寺院風の建造物が視界に飛び込んできた
「これが、SHIMBA教団本部・・・このNEWYORKに、こんな巨大施設があったなんて・・・」
亮一は、改めてSHIMBA教団の大きさを実感すると共に、施設に入ってから全身に突き刺さる程感じる、不気味な威圧感に身震いする
そして、亮一達を乗せたバスは、本丸の後方に建てられている、信者の研修施設らしきビルの正面玄関前へ停車し
全員がバスから下車すると、バスはそのまま敷地奥へと走り去っていった
それから亮一達は、玄関先に出迎えに来ていた数人の先輩信者達に案内されて、ロビーの方へ連れて行かれる
するとそこには、信者達とは服装が違った、この施設の責任者と思われる、40代前半位の綺麗な女性が、笑顔を浮かべて立っていた
「新しく入信された皆様、ようこそいらっしゃいました、私が、現在この研修棟の館長をしているナタリーと言います」
「皆様には、本日からこの建物で私達と一緒に生活し、共に修行して行く事になります」
「そこで、皆様には、この施設で生活をする為に、各自用に個室を用意してありますので」
「今日の所は、部屋の方に、このまま入って頂き、その後は、自由に建物内を見学して下さって結構です」
「夕食は6:00からとなってますので、時間になりましたら、私の後ろに見える食堂の方に集まって下さい」
「それでは、此処に居る彼女から、名簿に書かれた、自分の番号の鍵を受け取って、部屋へと移動して下さい」
そう言って、ナタリー館長は、名簿の様なバインダーを抱えた、1人の女性信者を紹介する
「では皆様、本日はどうもお疲れ様でした、もし何か分らない点がございましたら、内線0番の、管理事務所までお問い合わせ下さい」
そして、何となく事務的にも感じる、簡単な伝達事項を終えたナタリー館長は、そのまま、奥の事務所に戻って行った
すると、先程紹介された女性信者が、亮一達の前に近寄って来ると、名簿で名前を読み上げながら、各自に部屋の鍵が渡された
亮一の部屋は、4階の401号室で、この地上15階建ての建物の、1階から3階は様々な研修施設になっていて、4階から14階は信者の宿泊棟
そして最上階の15階が、ワンフロア−ぶち抜きの、大きな集会場になっている
ただ、地下の方も1〜2階程度ある様に思われるが、一般信者は立ち入り出来ない様になっている為、詳細は不明である
そこで亮一は、皆に合わせて、暫く自分の部屋になる401号室へと移動した
ドアにICカード型のキーを差し込み、カードリーダーのLEDが赤色から青色に変わって、ロックが解除されると、部屋の中へ入って行った
「へえ・・・これはまた、いたせりつくせりって感じだね・・・」
部屋の中は、亮一が思ったよりも広く、おおよそ16畳程の広さの、収納場所が豊富なワンルームに、ユニット式のバス・トイレを完備し
部屋の奥のコーナーにはWサイズのベットが置かれ、その対面の方には、お洒落な木目調のカジュアルデスクがあった
その上には館内ネットワークに接続されている情報端末が設置してあり、TV、冷蔵庫、レンジと言った一通りの家電品も全て揃えられていた
端末のキーを叩くと、画面にはSHIMBA教団のマークが表示され、スロットの方に、IDカードの挿入を促すメッセージ出てきた
亮一が、IDカードを差し込むと、画面が切り替わって、様々な情報検索やインターネットなどが出来る選択メニュー画面が表示される
だが亮一は、システム構成から考えて、端末の操作内容は、当然全て監視されている筈と思い、その場は、カードを抜いて端末を終了させた
ふと気が付いて、亮一が時計の方を見ると、現在時計の針は、夕方の4時を少し回ったぐらいを指していた
「時間的にはまだ余裕があるな」
そこで亮一は、折角与えられた自由時間を有効に活用しようと思い、施設内の散策に出掛ける事にした
そして亮一が、辺りに目を配って歩いていただけでも、この館内には、相当な数のセンサーやカメラが設置されている事に気付き
此処での調査は、よほど要領良くやらないと、自分の正体がばれてしまうか、良くても、教団側に、かなり怪しまれる事になりそうだ
亮一は、時間の許す限り館内を回り、大体のセキュリティ装置の位置を、頭に記憶した
「これは、良い方法を考えないと失敗する可能性が大だな」
「でも、焦ったって良い結果は出無いだろうし、慎重にやるしかないか・・・」
そう言って亮一は、明日からの事を考えながら、自分の部屋へと戻って行った


                                         to be Continued・・・

皆様こんにちは、TOWNSです
このDMシリーズも、いよいよNEWYORKを舞台とした新展開、SHIMBA教団編のスタートとなりました
ちょっと、今までの雰囲気とは変わった、現代的な部分と神秘性が融合した作品として仕上げる事を目標に
NEWYORKのDraculaMillenniumシリーズを創作して行きたいと思っています
今回は本業の忙しさや、色々な諸所の事情もありまして、執筆が相当遅れてしまってごめんなさいです・・・
これからも大体、1ヶ月から2ヵ月に一本のスローペースでの発表ですが、頑張りますので宜しくお願いします
それでは、次回のDraculaMillenniumXで、またお会いしましょう

Notice:この作品の著作権は、作者であるTOWNSにありますので、無断転載、改竄等はなさらない様にお願いします
     作品の挿絵として添付されているイラストの著作権はW・Qさんにあります、同様に転載、改竄はしないで下さい

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